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「私はなぜ子供が苦手なのか」子供の忘れられない対応

産まないことは「逃げ」ですか②

子供だからこそ人間性を見抜く!

 子供だからといってなめちゃいけない。つぶらな瞳で人間性をしっかり見ているのだと思った。自分のあざとさを反省した。母性アピールに必死な自分が情けなかった。

 女の子の母いわく、「Bが人の輪から外れて寂しそうに見えたから、手を握りにいったんじゃないかな。潮が嫌いなわけじゃないと思うよ」。フォローしてくれたのだが、いやいや、これは完全に見抜かれたのよ。原始的な観察眼をもつ子供が本当に怖くなった事件である。

 子供が苦手なことは今も変わりない。でも、ありもしない母性アピールはしなくなった。

「子供が苦手」というのが自分の立派な個性になったからだと思う。もちろん近寄ってきたら全力で接待する。「お尻プリプリ星人~」と尻を振りながら、子供を追いかけて喜ばせるくらいのスキルは身についた。

 実は、私の母も子供が苦手だという。苦手ではなく、嫌いだと言い切った。言った本人は見事な老人力ですっかり忘れているのだが、私はしっかり覚えている。

 子供が嫌いでも、ふたり産んで育てた母。母は母性ではなく、個性で私と姉を育ててくれたわけだ。子供がいる人もいない人も、個性で生きていけばいいと教えてくれた気もしている。

 子供がいないのも、子供が苦手なのも個性。そう思うとラクだ、今もこれからも。〈『産まないことは「逃げ」ですか?』(著・吉田潮)より構成〉

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吉田 潮

よしだ うしお

コラムニスト

1972年生まれ。おひつじ座のB型。千葉県船橋市出身。ライター兼絵描き。



法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。『週刊フジテレビ批評』、『Live News it!』(ともにフジテレビ)のコメンテーターなどもたまに務める。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より『東京新聞』放送芸能欄のコラム「風向計」を連載中。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)、『産まないことは「逃げ」ですか?』(KKベストセラーズ)、『くさらない イケメン図鑑』(河出書房新社)ほか多数。本書でも登場する姉は、イラストレーターの地獄カレー。



公式サイト『吉田潮.com』http://yoshida-ushio.com/



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  • 吉田 潮
  • 2017.08.26